SIDE CHAIR 脚のヒミツ
2013.08.21
まるで学校のイスのようなSIDE CHAIR。その固い座り心地につい背筋も伸びてしまうほどです(一瞬ですけど)。一見シンプルに見えるチェアですが、脚に注目していただくとそのデザインの非凡さ(と試作の苦労)がおわかりいただけるのではないでしょうか。
■太い太い後ろ脚
山型に切り出す前の木材は、9cm×4cmイスの足にしては重量級です。これを山型に切り出すので細い部分は細くなりますが、太い部分はむしろ対比上さらにどっしりと見えます。

■極端に細い前脚
太い後脚と対照的に細いのが、前脚。こちらは3cm×3cmで、こちらはイスの脚としては「あれっ?」てくらい細い。イスになってみると、後脚との対比で実際以上に細く見えます。

■構造の問題の解決
こうした前後の脚を、イスの足の継ぎ方として一般的な「ほぞ継ぎ」 のように加工に手間と技術と道具が必要な方法ではなく、木ネジで留めるだけで構造的にも安定させるために、何度も試作を重ねた末に、今のデザイン・つくり方になっています。
〈座面と脚の強度〉
安定させるために座面の下の足をつける板(幕板)の組を何度かテストした上で、足と幕板を一体化してつなぐつくりかたにしています。
〈座面と脚の強度〉
安定させるために座面の下の足をつける板(幕板)の組を何度かテストした上で、足と幕板を一体化してつなぐつくりかたにしています。

〈補強材の追加〉
当初案は幕板が今の倍の高さがあり、足をつなぐ補強材はありませんでした。しかし負荷を分散させるために、幕板を今のサイズにして、前足よりさらに細い補強材(2.5cm×2.5cm)を追加して安定させることができました。
当初案は幕板が今の倍の高さがあり、足をつなぐ補強材はありませんでした。しかし負荷を分散させるために、幕板を今のサイズにして、前足よりさらに細い補強材(2.5cm×2.5cm)を追加して安定させることができました。

■山型のカットと脚の太さの変化が織りなすイメージ
背もたれの角度になる山型のカットと、後脚→前脚→補強材 の順に細くなって行く足回りが印象的なデザイン、そしてそれを成り立たせるための構造設計とつくりやすさ。これらの絶妙なバランスの上でこのSIDE CHAIRは成り立っているのです。
